哺乳びんでミルクを飲ませてほしい

え? 哺乳びん?

頼まれたときの、僕の内心です。

正直、驚きました。

 

今でも、鮮明に覚えています。

頼んできたのは、仲の良かったゲイ友達でした。

 

まぁ、仲が良かったといっても、

知り合ってまだ2ヶ月にもならないくらいでした。

 

出会い

彼とは、サイトで知り合いました。

 

そのころの僕は、まだガラケーを使っていて、

(ガラケーが壊れるまでは、スマホなんて使うもんか!と強がっていました笑)

 

なので、ガラケーでも使えるというGraderで知り合った人でした。

 

彼もガラケーを使っていました。

 

そのころ、世間では、

ガラケーからスマホに機種変更する人が多く、ガラケーを使う人が一気に減った頃だったので、

いまだにガラケーを使っている彼に、勝手に親近感を抱いてしまいました(単純)。

 

彼は、見た目地味だったけど、なんというか、子供のような無垢さをもっていました。

だから、ほんとに屈託なくて、すぐに仲良くなりました。

 

お願いがあるんだけど

僕の家に遊びに来た時に、

すごく神妙な面持ちで、そう言ってきました。

 

 

僕「なに?」

 

彼「すごく変なお願いなんだけど」

 

僕「うん、いいよ」

 

僕は、小さいころから、人からお願いをされるのが好きで、

どんな願いが来ても、別にいいよ~って思ってました。

 

でも、さすがに、びっくりしました。

え? 哺乳びんでミルクが飲みたいの?

 

僕の変な性格

でも、僕は、すぐに「いいよ」と返事しました。

 

僕は、ちょっと、変な性格なんです。

 

何か頼みごとをされると、すごくうれしい。

なんか、自分が必要とされている感覚がして。

 

哺乳びんで飲みたいってお願いするのは、たぶん、彼にとって、相当の賭けだったと思います。

ひとによっては、頭大丈夫?とあしらわれたり、距離を置かれたりする可能性だってあったはずですから。

 

でも、僕はすごくうれしかった。

僕を必要としてくれてるんだと。

そのような願い、僕しか叶えてあげられないと。

 

変な性格です。

 

まるで赤ちゃんのよう

それからは、会うたびに、購入した哺乳びんで、ホットミルク(温めた牛乳)を飲ませてあげました。

 

僕のひざに頭を置いて、ミルクを飲む彼は、ほんとに可愛く、

飲み終わったときは、幸せそうな笑顔を浮かべていました。

 

それから1か月ぐらいして、付き合ってほしいと言われました。

 

 

でも、断りました。

その1週間前に、別の人から告白され、承諾していたからです。

 

彼は、わかったと一言いいました。

 

音信不通に

それ以来、彼からの連絡が無くなりました。

 

僕から連絡しても、【存在しないメールアドレスです】とdocomoから返ってくるだけ。

 

どうやら、メアドを変更したようでした。

 

 

ゲイの人間関係は、本当に希薄。

その時、彼との連絡手段は、メールただ一つでした。

ガラケーだったので、ラインも使っておらず、電話番号も知らず、

そもそも彼の本名すら聞いていませんでした。

 

自殺の知らせ

それから半年ぐらいして、

彼のお姉さんから、メールが来ました。

 

弟が亡くなりました。いま、弟の電話帳の人に順に連絡をさしあげています。と

 

僕はあわてて、ご冥福と、差し支えなければ葬儀に参列させていただきたいと、返信しました。

 

が、お姉さんから連絡はありませんでした。

 

大学の授業

僕は、その後、教育臨床を扱う授業で、

 

幼少期に、育児放棄、ネグレクトを受けると、

大人になってから、母乳を欲しがったり、

赤ちゃんのようにあまえたくなるという”赤ちゃん返り”をしたりすることがあるということを知りました。

 

もしかしたら、彼も、、、

 

彼の生前

彼は、生前、たびたび病んでるなと思うような発言を繰り返していました。

 

そして、僕にこう言ったこともありました。

「僕のこと覚えててね、ずっと忘れないでね」

 

うん、忘れないよ、ずっと。

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